やねうら部屋の貝の夢
錆び付いた天窓さえあけてしまえば
キュルキュルと軋みながら
無数の蝶が
頭のてっぺんから飛び立っていく
もう産まれた時から
羽化していたのだと云う
ずっとそこに居たのだ
魔法でもまやかしでもなく
"物理的に"存在するのは
今日の陽射しと その眼差し
記憶も夢もその掌
もう産まれた時から
持っていたのだと云う
この砂を
私たちは 山から噛み砕いて
"あ""い"などと言う
あの日の陽射し 私の眼差し
擬(なぞら)えるように
また今日が飛び立つ